2017年2月 6日 (月)

アメリカ・オレゴン州 「走行距離課金」への動きに関連して

 

Orego_3  トランプ大統領の誕生で、アメリカ中が混乱しているようですが、表題の案件については着実に検討が進んでいるようです。

 左のOReGOの画像は、オレゴン州が「走行距離課金制度」の運用に使用するために決めたものですが何時ごろ作られたものか気がつきませんでした。

 オレゴン州は、1919年にアメリカで初めてガソリン税の制度を導入したことを誇りにしていて、いま、ガソリン税から「走行距離課金」への転換にあたって、先頭に立つことを当然のことと考えているようです。

 アメリカで「走行距離課金」への転換が上下両院、満場一致で決められたのは2009年のことでしたが、オレゴン州は早くからガソリン税の限界に注目して、2001年に州議会の議決を受けて Road User Fee Task Force(RUFTF)を編成して検討を始めていました。

 2012年には関連機器メーカーに情報提供要望を出して熱心に研究・検討を続けてきていましたが、その後の経過については不勉強でした。

 今年の1月25日に発表された州の交通局の Daily Digest Bulletin を見て研究の進展に驚いたのですが、新たに Emovis 社が OReGO に参加することになったとのことです。実務は関連会社のDRIVESYNC. が担当するようです。 Emovis の親会社は Abertis というスペインに本社を置き世界中で有料道路を展開している巨大な会社です。
 Emovis_7                            (注) 数年前のことですが、イタリアのAutostradeとスペインの Abertis が合併する構想が出され両者の合意が成立しました。しかし、イタリア政府が強硬に反対したため実現できませんでした。 Emovis 社の重要さが推測できます。

 この1月に Emovis が新たに参加するまでは azuga というメーカーが OReGO の「走行距離課金」業務に参加してきたようです。

 Azugaこの会社は自動車の部品の中で、「頭脳としての機能」を果たしている OBD2 (On Board Diagnostics Second Generation 自己診断機能)の製造能力が認められていて、本社はルーマニアにあります。

  「走行距離課金」に OBD2 がどのように結びついているのか、簡単に説明できませんが、OBD2 が自動車の運行に関するすべての情報を集約する機能を持っていることは明らかです。

 OReGO の資料の中に、車両のダッシュボードの下に OBD2 の接続端末が用意されていて「走行距離課金」に必要な情報を集約する機器を接続する下記の図が出ています。Azugaobd2
 右上のグリーンの機器が azugaMRD (Mileage Reporting Device) です。スマホでも情報を見ることができますが、OReGO のセンターあてにデータが送信されます。
 詳しい情報は、http://www.myorego.org/about/volunteer/ で読むことができます。

 アメリカでは、オレゴン州をはじめとして約50の州政府、機器メーカー、IBTTA や I-95 Corridor Coalition などの団体が MBUFA (Mileage-Based User Fee Alliance) に結集して知恵を絞っています。

 日本では、ハイブリッド車や電気自動車、燃料電池車などの開発が進められる一方で、ガソリンスタンドの廃業が随所で見られます。

 建設費の重要な供給源だったガソリン消費の減少によって、道路財源も減少の一途をたどっている筈ですが、政府も業界も「走行距離課金」に関心を示していないように見受けられます。

 そろそろ目を覚まして、道路の利用から道路財源を生み出すことを考える時期が来ているのではないでしょうか。中でも、先ずは有料道路と高速道路の存在意義について、抜本的な見直しを行うことの重要さに気づいて欲しいと考える次第です。 

                                                        
 


2016年12月11日 (日)

笹子トンネル天井版落下事故から4年〜残された課題

 笹子トンネルの天井板落下事故から、この12月2日で満4年を迎え、当日、中日本高速道路主催の追悼慰霊祭が都留市で開かれ、遺族や宮地社長、国交省幹部らが出席しました。

 遺族からは悲しみに満ちた追悼の言葉が述べられましたが、「点検が行われていたら崩落は防げたはず」、「なぜ天井板が落ちたのか教えて欲しい」など、事故の原因究明を求める要望がだされた点に注目する必要があると考えます。

 中日本高速道路の社長は、かねてから「高速道路の安全性向上への取り組みを進めること」を強調していますが、従来の安全点検に見落としがあったことは認めていないようです。

 2005年に道路公団が民営化された際、猪瀬委員の強硬な申し入れがあり「維持管理経費の3割削減」の実施が予算に組み込まれていたため、トンネルの安全点検についても「手抜き」が行われたことが分かっています。

 また、笹子トンネルについては、2009年に換気方式の変更によって天井板を撤去することが計画されていたのですが、何故か実施に至りませんでした。

 その経過を示す中日本高速道路の資料が、国交省の「トンネル天井板の落下事故に関する調査・検討委員会」に提出されていましたので掲載しておきます。

Cnexco_rep_2

 次の記事が、上記目次の378ページです。一番下の3行をご注目下さい。

Cnexco_repp378
 「天井板を撤去する前提で換気設備の更新の検討を進めた」ため、天井板の詳細な点検が疎かになり、危険なまま放置されていたわけです。

 事故の翌年、笹子トンネルと同様に接着剤で留めたボルトで吊り下げた天井板のある危険なトンネルが16箇所あり、うち9本が翌年早々に撤去されました。

 山梨県警の刑事事件の捜査が難航していますが、高速道路会社が安全性を放棄したことが明らかです。一日も早い責任追及が始められることを期待しています。

2016年10月22日 (土)

「愛知道路コンセッション」スタート

  遅くなりましたが去る10月1日にスタートした「愛知道路コンセッション」についてご紹介しておきます。

8 今まで愛知県道路公社が建設して管理していた有料道路のうちの8路線の「管理」をこの組織に引き継ぎ、新しい発想でサービスの提供、沿線の開発によって、地域経済の活性化を推進することが目的になっています。(左の地図参照)

  コンセッションという言葉は聞きなれないことでしょうが、もとはラテン語の「譲歩、譲与」といった言葉で、新しい法律で「公共施設運用権(Private Finance Initiative 略してPHI )」を与えられた組織という意味です。一応「企業」と呼ぶことにします。
 (「愛知道路コンセッション株式会社」と書いた新聞もありましたが、間違いです。)

  企業の中核は前田建設で、森トラスト、大和ハウスなどが加り、オーストラリアのマッコーリー社も参加していて、企業側から、30年分の運営権料として、県に1377億円を運営権料として支払って、料金収受や道路の運営管理を行います。

  またスタート日から、空港連絡道路の普通車料金を、従来の360円から180円と半額にするほか、知多半島道路の大高~半田を平日・朝夕のラッシュ時間帯にETC利用する普通車料金を、460円から330円に割り引く措置をとっています。
 更に数年先には、道路周辺の開発事業として、パーキングエリアやホテルの新設も計画しているようです。

  コンセッション方式の有料道路はヨーロッパに多く、特にイタリアの約5,600kmの有料道路は、すべてがコンセッション方式の認可をうけています。その中でもAutostrade社グループが全体の約60%、約3,400kmを管理しています。(右下の地図で濃い青色部分)

Italiaa

  Autostrade社は、1950年に政府機関であるIRI(産業復興公社)の出資で設立されましたが、1980年代に入って、政府が財政再建のためIRIの持株を民間へ放出を始め、1999年に政府系の全株式の売却を完了しています。 
  2013年時点では、Atlantia社やトリノ金融財団などが過半数の安定株主で、約38%の株式が証券取引所で売買されていて、Atlantiaの会長と社長がAutostrade社の会長と社長を兼務しています。

 Autostrade社の契約期間は、スタート時には1995年までと定められていましたが、道路の延長が延びる時点で延長され、現時点では一部の例外区間を除いて2038年までになっています。

  日本道路公団の民営化の議論が始まった際、コンセッション方式も検討されたのですが、最後は国交省の判断で、保有機構+NEXCO方式が採用される結果に終わりました。

 現在の方式は、SA、PA以外は、経営の自主性を発揮する余地がなく、専ら国交省の指示に従って運営される寂しい会社になってしまっています。

  「愛知道路コンセッション」が、有料道路としてAutostrade社に負けない、立派な成果を挙げてくれることを期待しています。

2016年7月 3日 (日)

「高速道路の問題点」とその対策 —その2—

無料の高速道路の誕生

 民営化の審議が進む中で、採算性が低い区間を高速道路会社が担当することは困難だとの理由から、その区間を国交省が「新直轄」事業と名付けて自ら施工できるように法律改正が行われ、早々と国交省が無料の高速自動車国道の建設を始めました。

 道路予算が潤沢になり、地方部の議員、議員を支える建設業界の強い要望に応えると共に、一般国道の直轄工事の施工箇所が少なくなった国交省技術者の仕事を確保することが主な目的だったと考えます。

 突然、無料の「高速道路」が誕生したことは、半世紀以上にわたって有料を原則にして来た高速道路制度にとっては勿論、日本の道路問題全般に留まらず、国民生活全体に隠された影響を及ぼしています。「混乱の原因になっている」と言った方が適切かも知れません。有料の高速道路では「安全、快適で早い」という利用者の便益に見合った料金をいただき、その料金で償還を目指しますが、高速道路の利用者は、料金に加えて、ガソリン税などの二重負担を強いられてきています。

 直轄の高速道路を無料で走る利用者と、有料の高速道路の利用者との負担の格差が大き過ぎると思いますが、意外にも批判の声は殆ど聞こえて来ません。

 中国道から日本海に向かって延びる4本の高速道路が、交互に有料と無料になっているのは何故なのか、納得の行く説明ができるとは考えられません。 (下に示した地図をご覧下さい。青色が有料区間、灰色が無料区間です。)


Tollroadmap

 

問題解決の方策の提言

 20145月に決められた、2065年までに借入金を全額返済する計画が、本当に実現可能なのかどうか大いに疑問です。償還期間延長の理由になった補修費は、当面、緊急に実施が必要な補修費だけを計上したものです。今後50年の間に、老朽化が進み、補修が必要な区間はどんどん増える一方です。

 料金収入も計画通りに達成できる保証は皆無で、2065年までに償還できるように逆算されているに過ぎません。「償還が完了して無料開放できる」時機が来ることはあり得ないと考えるべきです。

 民営化の時に作られた償還計画が、10年もたたずに破綻したのです。50年後の見通しが実現すると本当に信じている人は、計画を作った国交省にもいなかった筈です。

 かなり以前から国交省の中に、償還が完了した後に、維持・管理費だけを払って頂く「維持管理有料道路」にするという考えがありました。しかし償還完了自体が「絵に描いた餅」なのですから、もっと具体的で実現可能な解決策を考えるべきです。以上の問題点の解決に関する私の提言は下記の通りです。

 

 提言1 償還主義のバイブルである「特措法」を廃止し、代わりに「有料道路事業法」(以下「事業法」)を制定すること

 この事業法は、イタリア、フランスなど欧州で広く行われている「コンセッションConcession方式」を参考に、法律化を図れば良いのです。
 

 民営化の議論の最初の段階で「コンセッション方式」も話題になりかけたようですが、国交省の強い水面下の反対に合い、あえなく立ち消えになったと理解しています。

 現在の特措法は、前記のとおり、乏しい財政状況下、如何にして道路整備を進めるかを定めた、文字通り「特別措置法」であり、制定後既に約60年を経過している古めかしい制度です。当時予想もしなかった、大規模な有料の高速道路ネットワークに適用することは、かなりの矛盾があります。

 一例を上げれば、高速道路の用地は、償還後は国の財産として残るのですから、その買収・補償費を料金収入で償還する必要は無い、という意見がかなり早くから、度々出されては消えていました。

 事業法での扱いは、道路用地は返済不要の固定資産であり、用地以外の道路本体でも、減価償却をすれば良い部分が殆ど、ということになります。

 特措法も、地方都市などの橋や短距離の道路に限って残して置くことは、まだ存在価値が残されています。

 これらの事業は、規模が小さいものが大部分ですから、開業後の負債が増え続ける場合や、逆に償還が順調で残りの期間が短い場合には、残額を単年度で償却して無料化する措置がしばしば採られてきています。

 愛知県道路公社で、去る6月24日に「構造改革特区」として有料道路の運営権を民間企業への売却(コンセッション)が発表されました。10月実施予定です。この方式が実現すれば、都府県などでの特措法は不要になります。

 

 提言2 国交省が直轄事業で開通させた高速道路・自動車専用道路を有料化すること

 中国.山陰を結ぶ2本の無料高速道路に代表される「新直轄」施工の無料の高速道路だけでなく、例えば名阪国道(延長73.3km)のように4車線の立派な無料の自動車専用道路が随所にあります。

 これらの自動車専用道路を、快適性、高速性、安全性などの追加投資を行うことを条件に、高速道路会社に引き渡し、料金水準の低い有料道路に転換させます。2車線の道路でも、登坂車線の追加や一部区間の4車線化で同様の措置をとります。

 この措置については、当然、利用者の反対が予想されますが、「高速道路」の償還実現を目指した現在の高い料金を、事業法による安い料金に引き下げることと並行して、全体としてのバランスを取ることによって説得力が強まり、十分、実現可能だと考えます。

 

 提言3 有料道路が、減り続けるガソリン税などに代わる有力な道路財源であることを周知させること

  日本には1,000兆円を超える巨額の債務があります。「高速道路」の債務だけでなく、この巨額の国債を償還しなければなりません。その中で、ガソリン税、自動車関連の諸税に代わる道路財源は「走行距離課金=通行料金」しか考えられません。世界の主要国の多くがこの道を模索中です。
 

 有料道路は、この「走行距離課金」の最も理想的な模範なのです。いきなり「走行距離課金」の説明をしても理解が難しいでしょうから、提言2を推進し、有料道路を拡大する中で、将来の道路財源についての理解を地道に深めて行くことが、国交省だけでなく政府全体の重要な責務だと信じます。

 

 

「高速道路の問題点」とその対策 —その1—

 この記事は、つい最近まで有料道路研究センターに掲載された「高速道路と有料道路の論点整理と対策提言」の一部を改訂したものです。


高速道路は有料道路として建設

 名神・東名の両「高速道路」(正確には高速自動車国道)が、日本の大幹線として姿を見せたのは1960年代の後半のことです。(参考 名神の最初の開通は、栗東~尼崎間 1963=昭和38年、全線開通は1965年 東名の最初が1968年、全線開通が1969=昭和44年です。)

 「高速道路」は、巨額の道路財源が必要なため、一般の道路事業として採択することが不可能でした。そのため1956年に改訂された「道路整備特別措置法」(以下「特措法」)に基づいて有料道路として建設することが決まっていましたが、当時の日本の財政状況では資金調達が困難だったため、日本道路公団が世界銀行から資金のかなりの部分(名神は全額)の融資を受けて着工し、名神・東名を完成させました。

 1966年(昭和41年)には、7,600kmの全国高速道路網が決定されていて、先ず、東北、中央、北陸、中国、九州の各高速道路が名神・東名に続く「新規5道」として着工され、その後、北海道、四国を含めて全国至る所で工事が始められました。

 その頃までには財政状況も好転し、財源は郵便貯金や厚生年金基金を主な原資とする「大蔵省資金運用部資金」や「道路債券」に移っていました。

 つい最近まで「高速自動車国道」は、国の道路財源を使わずに、道路公団、高速道路会社がこれらの借入金を原資に、有料道路として建設・管理を行い、通行料金で返済を続けて来ていました。 

 

料金徴収期間(償還期間)の変遷

 名神・東名は、利用台数が多い幹線道路ですから「30年以内に無料にする」という約束は早めに達成できましたが、後発の道路は、名神・東名に較べれば利用台数も少なく、借入金の返済が難しい路線も数多く含まれていました。

 その解決策として、1972年(昭和47年)に全国の高速道路を全部まとめて計算する「プール採算制」が導入されました。名神・東名の料金収入が、北海道、四国などの建設費に回された形です。

 それでも30年内の返済は難しくなり、1994年には償還期間が40年に、更に1999年には45年(「延長許容年限5年」を加えて最大50年)に延長され、2005年の民営化の時に、道路4公団の有料道路を合せて、全部を2050年までに償還を完了させることが決定されたのです。

 それが、民営化後10年も経たない2014528日の法律改正で「インフラの老朽化対策」に必要な費用が不足することを理由に、更に15年延ばして2065年まで料金徴収を続けることになったのは記憶に新しいところです。

 民営化時の償還計画も、収入見込みと、建設費、維持・管理費などの費用見込みを、2050年までに償還できるように逆算して決めた、かなり粗雑な計画だったことが分かります。

 名神・東名が完成したのは、前述のとおり1969年(昭和44年)でしたから、2065年は、それから数えて96年(約一世紀)も後のことになる訳です。

 

高速道路の定義と性格の変化

 以上の説明の中で「高速道路」は、道路法が定める「高速自動車国道」のことでしたが、民営化で高速道路会社に引き渡され有料道路は、道路法上の「一般国道」「都道府県道」「市町村道」も含まれていて、それら全てを「高速道路」と呼ぶことになりました。

 首都・阪神の高速道路は「都道府県道」か「市町村道」で、例えば東名につながる首都高速は「都道・首都高速3号線」で、首都高湾岸線の横浜市内の部分は「横浜市道・高速湾岸線」です。 (ついでながら、首都・阪神の高速道路会社は、財政力が豊かな都市の所管会社ですから、4公団の一括管理には加わらず、名古屋、広島、福岡・北九州の各高速道路と同様に、独立した組織として管理・運用を続けるべきでした。)

 本四架橋も、高速自動車国道ではなく、神戸・鳴門線は国道28号線、瀬戸自動車道は国道30号線、しまなみ海道は国道317号線と言った具合です。

 旧日本道路公団では、本当の「高速道路」と、それ以外の「一般有料道路」が区別されていて、一般有料道路は早く償還が終われば期間前でも無料化されますので、民営化の時点で、償還が近くて高速道路のネットワークから外れた路線は、国や県に引き渡されました。

 「一般有料道路」の中の特殊なグループとして、「高速道路」の建設予定路線でありながら、採算性が悪くて事業化が遅れている区間を「高速自動車国道に並行する自動車専用道路」(一般国道です。)と称して国交省が直轄事業で着工、平均約60%、最大98%が完成した時点で道路公団に引き渡し、公団が有料道路として完成させ、管理している区間が数多くあります。(「薄皮方式」「隠れ高速」などと揶揄されています。)

 以上の「高速道路」と呼ばれる性格が異なる路線が、すべて「有料道路」として高速道路会社に引き継がれ、保有機構の監督下に置かれている訳です。

 

2016年6月19日 (日)

「ハイウエイ」=「高速道路」ではありません

 今までに何度もあったことですが、「(外国のある箇所)の高速道路の事故で、多くの死傷者がでた・・・」というニュースが、TVで放映されたり新聞に記事が出る度に、その箇所がどう見ても高速道路ではない、険しい山道だったりしたことが見受けられました。

 小生の「職業」柄、気になってNHKや朝日新聞などに電話をかけて、「あの箇所は高速道路ではなく普通の道路です。多分、Highwayを高速道路と訳されたのでしょうが、間違いです。」と連絡しても取り上げられることは皆無でした。

 確かに、名神高速の開通以来、「ハイウエイ」という言葉が新鮮でモダンな言葉として、高速道路を歌った歌曲の歌詞にも頻繁に使われていましたし、道路公団の関係者からも講演会などでハイウエイという用語が出てきていたようです。

 辞書を引けば分かることですが、highway robbery が追い剥ぎ、強盗の意味であるように、highway には高速道路の意味はありません。訳語としては、幹線道路、主要道路、公道、街道・・・などになっている筈です。

 5月の中頃に、いくつかのTVで「米テキサス州の高速道路で貸切バス横転、・・・」のニュースが流れました。そのあとインターネットで海外ニュースを読んでいて、AFP(フランス通信社)発の記事が日本のAFPBB(AFP BroadBand News)によって翻訳されて新聞、テレビ各社に送られていたことが判りました。(記事の下部はカット)

Highwayexpressway1_2 
 その記事の下に「お問い合わせ」という送信サイトが設けてありましたので、久しぶりに上記の意見を送ったところ、驚いたことに数時間後に下記の返信が届きました。

  お問い合わせいただきありがとうございます。
  AFPBB Newsの立石と申します。

  この度はご指摘いただき、誠にありがとうございました。
  確認したところ、事故が起きたのは「Highway 83」でご指摘いただきました通り、
  出入り口が制限された「expressway 高速道路」ではございませんでしたので、修正致し ました。

  今後ともAFPBB Newsをよろしくお願い致します。

 早速、AFPBB News の数日前の記事を探したところ、書き出しの部分が下記のように修正されていたのには、また驚きました。

Highwayexpressway2_2
 従来「梨の礫」だった日本のテレビ、新聞に比べてAFPBB News社の素早い反応に感激した次第です。

    (5月下旬に体調を崩し、お知らせするのが遅れたことをご容赦下さい。)
 

 



 

 

2016年5月23日 (月)

高速道路「跨道橋」の管理責任

 熊本で大きな地震が連続して発生し大きな災害が起きました。 地震はまだ当分警戒が必要な段階だと言われています。

 災害の中で、高速道路を跨ぐ県道が落下する事故が発生、撤去にかなりの時間がかかりました。死傷者などが出ななったのは何よりでした。((2016年4月16日、県道32号小川嘉島線・府領第一橋)

 Kodokyou2 左の写真をご覧ください。手前の橋脚の基礎の跡に赤く錆びた箇所が見えます。

 また、写真の左の中央部に白い円筒形の物体がころがっています。

 左下の写真を見れば、その円筒形の物体が跨道橋を支えていた柱で、そして、柱の基礎部分の錆が進んでいたことがわかります。

 柱の上部は少し錆がみえますが、跨道橋に固定されいなかったと推定されます。
                             
Kodokyou  地震の揺れで、柱の基礎部分の鉄製部分が破壊され、柱の上部は滑って倒れたとみています。

 なぜ、基礎の錆がこんなに進行するまで放置されていたのでしょうか。

 高速道路側では、県に引き渡した跨道橋であり、この部分の維持補修について県に申し入れを行っていたのに、県が放置していたと 主張しているようです。

 従来から、高速道路側がそのような考えたようですが、県は、施設の維持・修繕保全工事を実施できる場所ではないと考えていたとみて不思議ではないと思います。

 県が引き継いだ跨道橋も、県が管理可能なのは路面の補修だけだったと考えます。

 東名高速にも沢山の跨道橋(オーバーブリッジ)があり、その防護柵・金網の錆が跨道橋の側面に垂れ落ちて見苦しいとの批判が続出しました。

 この部分には、高速道路側が安全啓蒙や工事予定などの横断幕を張る場所として頻繁に利用していて、結局、道路側が金網の取り替え・側面塗装などを実施しているようです。

 会計検査院も、数年前から「県の対策工事」を勧告していたそうですが、実際問題として県の責任分野と決め付けるには無理があると考えます。

 高速道路側が、早くから橋梁基礎の錆止めを行って置くのが筋ではなかったでしょうか。

2016年4月 2日 (土)

高速道路トンネルの安全対策

 もう大分前のことになりましたが、去る3月17日の朝、山陽道の東広島市にある八本松トンネルで発生した追突、火災事故に関連して、高速道路トンネル内の安全対策について考えておきたいと思います。

 トンネル入り口前の情報板に、「渋滞発生中・速度落とせ」の表示が出ていたのを、居眠りをしたトラック運転車が見落とした結果、発生した事故のようです。

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 左の写真が八本松トンネルの手前に設置されている「トンネル情報板」です。

 ほとんどの利用者がこの情報板を見て速度を落としているのに、半分居眠り状態のトラックが、追越し車線を走ってトンネルに突っ込んで行ったのでしょう。

 この事故で2名が死亡、71人が負傷しています。炎上、破損した車の数は不明です。

 高速道路のトンネル事故では、1979年(昭和54年)に起きた、東名の日本坂トンネル事故があります。

 やはり渋滞中の車列に大型トラックが突っ込み、7人が死亡、2人が負傷、173台の車両が焼失しました。

 このトンネルには、スプクリンクラー設備があり、消化栓と消化器も50m間隔に設置されていましたが、衝突した大型貨物車に積まれていた可燃性の合成樹脂などが発火したために被害が拡大しました。スプクリンクラーの貯水槽も空になり、鎮火までに、なんと65時間かかりました。

 できれば200〜300mを超えるトンネルにはスプクリンクラーを設置することが望ましいと考えます。

 この事故の対策として、トンネルの入り口に交通信号を設置する措置が取られました。トンネル内が渋滞し、衝突事故発生の危険がある時にはトンネルの前で車両の進入を停めることができます。

Enasantunnelent  左の写真は、中央道の恵那山トンネルの入り口前の情報板と信号器です。渋滞時には黄色信号が点灯され、事故発生時か事故発生の恐れがある場合には、信号は赤になり、進入が禁止されます。

 2kmを超えるトンネルには設置済みのようです。交通信号ですから、操作は公団(NEXCO)と同じ事務所に入っている交通警察が操作します。

 事故対策としては、これだけでも十分とは言えません。トンネルに限ったことではありませんが、特に大型トラックに緊急停車ブレーキ装置を取り付けることを、早急に義務付けることが必要だと信じます。

 最近、世界中の自動車メーカーが競って「自動運転装置」の開発を進めています。ビデオを見ていても、眠ってていても予め設定した目的地に連れて行ってくれるというのです。

Vw_driverless_2  左の写真は国交省の資料に載っていたVW社の写真で、運転者が何もしなくても良いことを示しています。

 「自動運転装置」が便利なことはわかりますが、長距離の高速道路を頻繁に利用する運転者を除けば、高価なシステムを必要とする人が多いとは考えられません。

 普通の人が日常生活で利用する一般の道路には、自動運転に使うレーンマークもガードレールも無い区間が沢山あります。

 必要なのは、前を走っている車が急ブレーキを踏んだ時か、ぼんやりしていて追突しそうになった時の制御機能とか、長距離運転で眠たくなった時などの警告装置位でしょう。

 運転を楽にすることよりも「安全性を確保すること」を最優先に実用化を図るべきです。

 
 
 

 

 

2016年2月21日 (日)

新東名の開通にあたって考えたこと

 さる2月13日に新東名の豊田JCT〜三ケ日JCT間 55kmが開通し、御殿場以西の東名高速道路が複線化されました。

 これによって渋滞の発生が多かった豊田〜三ケ日 両JCT間がスムーズに走れるようになり利用者から喜ばれているのは何よりです。

Shintomeimap_3
 この区間の工事費は6,200億円だそうです。因みに2020年までに開通を予定している海老名南JCTまで253kmの工事費は約4兆4000億円(用地・補償費などを含む事業費は約7兆円、1km当り約280億円)と言われています。

 東名の開通当時の事業費は、1km当り 約10億円でした。東名開通から約50年経っていますから、その間の物価高騰を考えても、新東名が如何に高額の資金が投入されたか、ご理解いただけると思います。

 何故、そんなに高い金額が必要だったのでしょうか。新東名は東名よりずっと山側に入っているために、トンネルが多くなり、加えてトンネるとトンネルの間が深い谷をまたぐ橋になっていて、トンネルと橋が全体の60%を占めていることが第一の理由です。

 第二の理由は、新東名は設計速度が140km、道路曲線の最小半径が3,000m、坂の勾配が2%が上限という、高度な条件によって設計されたためです。
 因みに、東名の設計速度は120km、曲線半径は300m、勾配は5%でした。

 第三の理由は、新東名全線の車線数が往復とも各3車線、計6車線の幅員をもった高速道路として設計され建設が進んでいたことです。 
 当時並行して行われていた公団民営化の議論の中で、某委員から「3車線は無駄だ。2車線で十分。」という強い要求が出されましたが、工事の進捗が早かったため、開通時の舗装だけを2車線分にすることになりました。

 新東名が陸地の奥深い山岳地帯を通過していることについて、南海トラフ巨大地震から交通網を守る目的だったという声も聞かれますが、あと付けの意見です。

 地震対策として別線の必要性がでていたのは、東名が通る由比の海岸部分でした。台風が接近しただけで大波が打ちつけられ、通行止になることがしばしばでした。

 一番気になるのは、2020年までに開通が予定されている海老名南JCTから東京都内までの区間をどうするかです。東名高速である限り起終点は東京都でなければなりません。

  「第三京浜の地下を使って都内に入る」という意見を聞いたことがありますが、信頼度は保証できません。一日も早く、国交省で海老名〜東京区間の路線案を決定するように検討を進められることを切望しておきます。

2015年12月11日 (金)

「アメリカの道路財源」 MBUFに道筋

 前回の記事で、12月4日にようやく成立した道路財源法(FAST Act)の有効期限である2020年までに、同じく2020年までの導入が提案された走行距離課金(Mileage Based User Fee 以下MBUFと略)が実現することを望んでいることを書きました。

Thehilllogo

 今日になって12月7日のアメリカの新聞 THE HILL に、FAST Actの中に、“ガソリン税に代わる財源”のテストに必要な費用として$95mill.が計上されていていることを、Mileage-Based User Fee Allianceの関係者が明らかにしたことが分かりました。

 何しろFAST Act は、1300ページに及ぶ膨大な法律で、それがどこに書いてあるのか見つかりませんでしたが、さすが上下両院共、全会一致での提案だけに、MBUFの導入に向けて真剣に取り組む必要を忘れていなかったということでしょうか。

 読みにくいと思いますがTHE Hill の記事の一部を載せておきます。

Mbufitem

 いま日本の政府は、ガソリンを使わない自動車の税金を軽減する方針を出して、自動車業界に喜ばれています。  

 自動車税が安くなれば売り上げにはプラスになり、自動車業界は喜びます。政治献金も増えることでしょう。道路財源はガソリン税が中核ですから、ガソリンの消費量が少ない車が増えれば道路財源が足りなくなり、建設業界にはマイナスです。

 交通量の少ない地方にも、立派な無料の高速道路が至る所で建設されています。この財源を一体どこから集めてくるお考えなのか、不思議でなりません。

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