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2015年1月 5日 (月)

イギリスの Smart Motorway について

 年末・年始に限ったことではありませんが、特に東京、大阪など大都市近郊の高速道路で、繁忙時などに数十キロに及ぶ渋滞の発生が、いわば年中行事になってしまっている箇所が沢山あります。

 イギリスでは、渋滞対策として“Smart Motorway”の建設が広く普及してきていて、高く評価されているようです。日本でも是非、参考にすべきだと考え、新春に相応しい記事として、その実態をご紹介することにしました。

 Uksmarth0 左の写真は、最初の段階で行なわれたSmart Motorwayのものです。

 この方式は、All lane running と呼ばれ、2006年にM42号線のバーミンガムの東の渋滞区間に始めて(Pilotとして)開通しました。(推定延長約25km)

 交通量の多い3車線区間の路肩を他の車線と同じ舗装(hard shoulder)にしたことがハッキリ分かります。

 中央分離帯(中分)側の舗装も色が変わっていますから、中分も削られて車道の両側が拡げられたようです。

 まだ古いレーンマーク(工事中の暫定レーンマークも?)の跡が残っています。

 常時4車線を確保すると同時に、800m間隔に非常駐車帯が設けられています。

 左側の破線の先に駐車帯から合流する箇所があります。その手前に駐車スペースがあり非常電話が設置されています。

 この第4車線は、常時利用できるのが原則です。事故が発生したなど時には電光板に車線変更などの警告が出されます。(最後のIncidentsの図参照)

 路肩部分を車線として活用することによって、道路拡幅に較べて費用が安くなることは勿論、沿線の環境に与える変化が少ないことが高い評価を受ける理由です。

Uksmarth1_3  最近では、左の写真のように、路肩に通常の舗装がされていますが、他の車線とは連続した白線で区分されていて、前方の車線毎の電光表示によって他の車線と同様の利用が可能になります。

 Controlled motorway と呼ばれる方式で、これが現時点での主流になっているようです。

 車線の外側には非常用駐車帯が新設され、非常電話も設けられています。非常電話の左側のポールには車線監視用のCCDカメラがあります。

 トラックの横に青色の枠が見えますが、走行速度を測定できる車両検知器が設置されている箇所を示しています。

 全車線の上部に可変電光盤があり、現在の規制速度(50マイル/時)が、その右に速度違反撮影カメラの設置が、それぞれ表示されています。左上の表示板には Congestion . Stay in lane (混雑中・車線変更禁止)との表示が見えます。

Uksmarth2_2  左の写真では、路肩の車線が閉鎖されています。交通量から見て、3車線で十分と判断される場合の運用方法で、規制速度は60マイル/時です。反対側は交通量も多く、4車線が使われています。

 前方に赤い表示が霞んで見えますが、可変電光盤は500m間隔に設置されています。事故発生時には、管制室の操作によって2km手前から、4基の電光盤の表示によって、スムーズに交通を誘導することが可能になります。

 日本では10kmも先きの情報が「この先事故 走行注意」という程度の注意情報が出され、表示板を積んだトラックが事故現場に到着してから交通規制が始まります。それも大抵「走行速度50km/時」と表示されるのが普通です。このやり方では、事故現場を頭にする交通渋滞が発生し易く、交通管理員が事故に巻き込まれる危険も高くなっています。

Uksmarthincudents_2  左の Smart Motorwayでの事故処理の手順図をご覧下さい。

 非常電話からの通報、車両検知器によるの異常の検知に基づいて、CCDカメラで事故を確認できれば、2km手前(左図の一番下)の情報盤に「事故発生」の表示が出ます。

 以下の表示は、ほぼ自動的に表示されます。

 次の可変電光盤で、規制速度が60マイル/時から50マイル/時に変わり、路肩車線走行中の車に右側に移るように矢印が出ます。View 3

 次に、第3車線にも右側に移るように矢印が表示されます。View 2

 事故現場に一番近い電光盤では、左側2車線が通行禁止の×印になり、残った右側2車線の規制速度が40マイル/時=約65km/時に抑えられます。View 1

 交通警察官が現場に到着。交通の流れが阻害されないように配慮してコーンを配置し、作業スペースを確保します。

 この写真の上部中央にマウスの絵があります。下記URLを表示し、マウスから出ている矢印の先に、こちらのマウスの矢印を持って行くと詳しい説明が出てきます。試して頂くとこの記事の説明がとても分かり易くなります。 

         https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment

         _data/file/373070/S140389_Smart_motorways_ezine.pdf

 最後に、Smart Motorwayの開通区間(青)、工事中(緑)、計画段階(黄・赤)を示す図面を掲げておきます。上記URLの最後のページです。ここでもマウスから出ている矢印の先に、こちらのマウスの矢印を当てれば、Go to website と表示され、それをクリックすると詳しい記述が出ますが、残念ながら区間の延長が書いてありません。せめて、Smart Motorway全体の開通区間、工事中・計画段階区間の総延長だけでもデータが分ると良いのですが・・・

Uksmarthighwaymap  長々とSmart Motorwayについての記述をしたのは、冒頭にも書きましたが、日本の渋滞対策に大いに参考になると考えるからです。

 渋滞対策には、拡幅工事をするか、新東名・新名神のように並行する新線を建設するの方が良いのは分ります。

 しかし、厳しい財政状況下では、少ない予算で効果が大きい工事方法を選ぶべきでしょう。

 新東名の建設は順調に進んでいますが、最も必要性が高い東京~厚木間は、頻繁に30km~50kmの渋滞が発生しているにも拘らず、計画路線さえ決められない状況です。

 この区間については、当面、4車線運用ができるように、Smart Motorwayに倣って、hard shoulderの工事を施工することが、緊急な対策として最も効率的な方法ではないでしょうか。

 大和トンネルが、工事の障害になることでしょう。このトンネルは、米軍厚木飛行場滑走路の延長線上にあり、東名の計画段階で、危険防止の観点から地元からの強い要望に従って作られた施設ですが、開通以来約50年間、危険な事態は皆無な筈です。

 万が一必要だとしても、トンネルにしなければならない必然性はなく、昼間の照明が不要で、トンネル内の排気ガスの心配もない鉄骨組み立てのドームで十分であり、工期や建設費から見ても有利だと考えます。


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