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2016年7月 3日 (日)

「高速道路の問題点」とその対策 —その1—

 この記事は、つい最近まで有料道路研究センターに掲載された「高速道路と有料道路の論点整理と対策提言」の一部を改訂したものです。


高速道路は有料道路として建設

 名神・東名の両「高速道路」(正確には高速自動車国道)が、日本の大幹線として姿を見せたのは1960年代の後半のことです。(参考 名神の最初の開通は、栗東~尼崎間 1963=昭和38年、全線開通は1965年 東名の最初が1968年、全線開通が1969=昭和44年です。)

 「高速道路」は、巨額の道路財源が必要なため、一般の道路事業として採択することが不可能でした。そのため1956年に改訂された「道路整備特別措置法」(以下「特措法」)に基づいて有料道路として建設することが決まっていましたが、当時の日本の財政状況では資金調達が困難だったため、日本道路公団が世界銀行から資金のかなりの部分(名神は全額)の融資を受けて着工し、名神・東名を完成させました。

 1966年(昭和41年)には、7,600kmの全国高速道路網が決定されていて、先ず、東北、中央、北陸、中国、九州の各高速道路が名神・東名に続く「新規5道」として着工され、その後、北海道、四国を含めて全国至る所で工事が始められました。

 その頃までには財政状況も好転し、財源は郵便貯金や厚生年金基金を主な原資とする「大蔵省資金運用部資金」や「道路債券」に移っていました。

 つい最近まで「高速自動車国道」は、国の道路財源を使わずに、道路公団、高速道路会社がこれらの借入金を原資に、有料道路として建設・管理を行い、通行料金で返済を続けて来ていました。 

 

料金徴収期間(償還期間)の変遷

 名神・東名は、利用台数が多い幹線道路ですから「30年以内に無料にする」という約束は早めに達成できましたが、後発の道路は、名神・東名に較べれば利用台数も少なく、借入金の返済が難しい路線も数多く含まれていました。

 その解決策として、1972年(昭和47年)に全国の高速道路を全部まとめて計算する「プール採算制」が導入されました。名神・東名の料金収入が、北海道、四国などの建設費に回された形です。

 それでも30年内の返済は難しくなり、1994年には償還期間が40年に、更に1999年には45年(「延長許容年限5年」を加えて最大50年)に延長され、2005年の民営化の時に、道路4公団の有料道路を合せて、全部を2050年までに償還を完了させることが決定されたのです。

 それが、民営化後10年も経たない2014528日の法律改正で「インフラの老朽化対策」に必要な費用が不足することを理由に、更に15年延ばして2065年まで料金徴収を続けることになったのは記憶に新しいところです。

 民営化時の償還計画も、収入見込みと、建設費、維持・管理費などの費用見込みを、2050年までに償還できるように逆算して決めた、かなり粗雑な計画だったことが分かります。

 名神・東名が完成したのは、前述のとおり1969年(昭和44年)でしたから、2065年は、それから数えて96年(約一世紀)も後のことになる訳です。

 

高速道路の定義と性格の変化

 以上の説明の中で「高速道路」は、道路法が定める「高速自動車国道」のことでしたが、民営化で高速道路会社に引き渡され有料道路は、道路法上の「一般国道」「都道府県道」「市町村道」も含まれていて、それら全てを「高速道路」と呼ぶことになりました。

 首都・阪神の高速道路は「都道府県道」か「市町村道」で、例えば東名につながる首都高速は「都道・首都高速3号線」で、首都高湾岸線の横浜市内の部分は「横浜市道・高速湾岸線」です。 (ついでながら、首都・阪神の高速道路会社は、財政力が豊かな都市の所管会社ですから、4公団の一括管理には加わらず、名古屋、広島、福岡・北九州の各高速道路と同様に、独立した組織として管理・運用を続けるべきでした。)

 本四架橋も、高速自動車国道ではなく、神戸・鳴門線は国道28号線、瀬戸自動車道は国道30号線、しまなみ海道は国道317号線と言った具合です。

 旧日本道路公団では、本当の「高速道路」と、それ以外の「一般有料道路」が区別されていて、一般有料道路は早く償還が終われば期間前でも無料化されますので、民営化の時点で、償還が近くて高速道路のネットワークから外れた路線は、国や県に引き渡されました。

 「一般有料道路」の中の特殊なグループとして、「高速道路」の建設予定路線でありながら、採算性が悪くて事業化が遅れている区間を「高速自動車国道に並行する自動車専用道路」(一般国道です。)と称して国交省が直轄事業で着工、平均約60%、最大98%が完成した時点で道路公団に引き渡し、公団が有料道路として完成させ、管理している区間が数多くあります。(「薄皮方式」「隠れ高速」などと揶揄されています。)

 以上の「高速道路」と呼ばれる性格が異なる路線が、すべて「有料道路」として高速道路会社に引き継がれ、保有機構の監督下に置かれている訳です。

 

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